Webサイトリニューアル前の「調査と分析」の種類6つ。
今回はWebサイトリニューアル時に行う、「調査・分析」についてお話しします。
「調査・分析」はWebサイトリニューアルを成功させるために必須のステップです。
Webサイトリニューアル時に行う調査・分析の種類。
では、その調査・分析にはどのようなものがあるのでしょうか。
これまで数多くのWebサイト制作に携わった私の経験から言うと、以下の6つがあると考えます。
- アクセスログ調査
- 検索キーワード調査
- アンケート調査・インタビュー調査
- 競合調査
- 参考Webサイト調査
- 現状Webサイト調査
具体的にそれぞれがどういうものか紹介しますね。
1. アクセスログ調査
使うツール:Googleアナリティクス
対象のWebサイトを訪問ユーザーがどのように閲覧しているかを把握します。
ただ網羅的に把握することは難しいので、ポイントを絞って確認します。
使うツールはGoogleアナリティクスであることがほとんど。
- よく見られているページ
- よく見られているコンテンツカテゴリ
- ランディングページ
- 離脱ページ
- トップページから次に遷移しているページ
このあたりをチェックすることが多いです。
時間があれば、ユーザーをセグメントで細分化して細かくみることもありますが、細かくしすぎるとサンプル数が少なくなりすぎて参考にならないので「大きく把握すること」が重要だと思います。
ただ、リニューアル前のWebサイトにアクセスログを取得する設定がされていないケースも未だにある。そういう場合は残念ながらアクセスログを見ることはできないので潔くあきらめる。
2. 検索キーワード調査
使うツール:Googleサーチコンソール
対象のWebサイトにGoogle検索で訪問された場合、Googleサーチコンソールに対象サイトのURLを登録しておけば、ユーザーが入力した検索ワードを把握できるます。
検索キーワードはユーザーの課題そのもの。
シンプルに言えば、課題解決法を定めることが戦略となるわけなので、検索キーワードからユーザーの真のニーズ、隠れたニーズを探すことは戦略策定のためにも必須だと考えます。
GoogleサーチコンソールをGoogleアナリティクスの機能の一部と誤解している人がたまにいますが、GoogleアナリティクスとGoogleサーチコンソールはツールとしては別物です。
3. アンケート調査・インタビュー調査
アクセスログや検索キーワード調査だけではなく、リアルなユーザーに調査を依頼することもあります。
Web制作会社であれば、Webサイトのユーザーになりそうな人を集めてアンケートを取るのは、比較的すぐできる対応です。
アンケートやインタビューの質問項目を決める上で大事なことは、
「なるべくYes、 Noで答えられる質問ではなく、回答者の悩みを炙り出すような質問を作ること」です。
難しいですけどね。
以下は例ですが、例えばこんな質問例が考えられるでしょうか。
(もちろん業態や企業によります。toBのサイトの場合特に難しいです。)
- どのようにその会社やサービスを知ったか。
- 現状サイトを見て、使ってどう感じたか。
- どういう悩みをもってサイトに訪問したか。
- 他のサービスとはどのように比較したか。
- 店頭に行ったり、資料を取り寄せたりしたか。した場合どう感じたか。
- その悩みを解決するためにどういうワードで検索したか。
- 検索して訪問したページにどういう情報や選択肢があると嬉しいか。
ニーズが掴みきれないような場合は、調査会社に依頼することもありえます。
4. 競合調査
リニューアルするWebサイトの競合会社や競合サービスは把握しておきましょう。
競合を調査する目的は大きく次の3つがあると考えます。
- 業界を理解する
- 差別化ポイントを探す
- 他社の表現や機能を把握する(参考ポイントを探し、意図しない模倣を避ける)
競合会社名は、クライアント担当者に聞いても問題ありません。
Webサイトをリニューアルしようとしている担当者であれば、意識している会社は何かしらあるものですから。
ただ、そこは、Web制作会社視点でもピックアップしてあげましょう。
全部が全部クライアントから聞いたものだけではなく、同様の業界、同様の規模、同様のターゲティングをしていると思われる会社やサービスを探すことはできるはずです。
探す方法としては、業界をまとめた採用エージェントのサイトを活用するのも良いかもしれないですね。
ピックアップする会社数は、クライアントが意識している会社5社、Web制作会社が独自調査した同業会社5社程度の10社もあれば十分だと思います。
競合調査はあくまで調査する人の主観は入ってしまいますが、そこが強くなりすぎないよう「比較軸」になるものを予めピックアップしておくと参考になりやすいと思います。
その意味では、マーケティングフレームワークと言われる、4C、4Pの項目別に整理するとわかりやすいかもしれません。
4C
- 顧客価値(Customer value)
- 顧客のコスト(Cost)
- 顧客にとっての利便性(Convenience)
- 顧客とのコミュニケーション(Communication)
4P
- 製品(Product)
- 価格(Price)
- 流通(Place)
- 販売促進(Promotion)
5. 参考Webサイト調査
競合に限らず、機能やメッセージの出し方など、参考になりそうなサイトをピックアップしておくことも有効ですよね。
ここは提案依頼があってから探すのではなく、常日頃から調査し、情報をストックしておくことをお勧めします。
デザインアーカイブサイトや、RSSリーダー等を活用すると効率的かもです。
海外のデザインアーカイブサイトにも参考になるものは多いが、見た目やギミックに偏りすぎていると感じることが多い。「こんなの作ると幾らかかるやら・・・・」ということもあるので、そこは注意が必要。
6. 現状Webサイト調査
もちろんリニューアル対象となるWebサイトの調査も重要です。
チェックするポイントとしては以下のようなものが多いと感じます。
- ページ数
- CMSでの更新箇所
- システム連携している箇所
- サービス連携している箇所
- 図版数
- インフラ周り(サーバ、ドメイン、SSLサーバ証明書等)
- 主導線
- コンテンツの優先度
- サイト基本仕様(対象ブラウザ、アクセシビリティ対応レベル等)
すでに実装されているシステムが何でそれは移行対象なのか、このあたりは、費用に大きく影響するとことなので特に注意が必要ですね。
「調査・分析」は必要。そこに時間とコストをかけるべき。
「調査・分析を行う」ということはそこに時間とコストをかけるということです。
しかしそれってなかなか理解されにくかったりします。
お見積書に「調査・分析」という項目を入れていると「不要です。」って言われることも稀にありますから。
調査・分析をしないままWebサイトを作ることを、建築物に例えると、「家主不在だけど、とりあえず、家建てて。」って言われているようなものです。
「あとでそんなつもりじゃなかったとか。」「伝えきれてなかった」「成果が出なかった」
そんなWebサイトにしないためにも調査・分析というステップが必要です。
ぜひ、今後Webサイト制作の制作工程をクライアントに説明する際には、「調査・分析」の工程を含めていただければと思います。
ちなみに、サイトリニューアルコンペ等の場合、企画にあわせて調査・分析を合わせて行います。ただ、コンペは時間も限りがありますし、そこで出来ることはたかが知れています。
コンペ時にはクライアントから提供されないものもありますよね。
仮にコンペの企画がそのまま採用されたとしても今回提示した分析・調査項目に漏れがないかは、改めて再考することをお勧めします。