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web制作会社の将来性。ダイレクトな価値提供がより重要に。

2020年06月21日 2020年10月08日

web制作の業界で25年近く関わる自分が、web制作にまつわるクライアント動向について感じていることは、明らかに仕事の発注のされ方が昔とは変わっているということ。
昔は、単純に「自社のコーポレートサイトを作りたい」「かっこ悪いのでリニューアルしたい」ということで仕事をご発注いただいていたし、それで売上も上がっていた。
しかし、今は、もう違う。一時的なスマホ対応のブームもひと段落し、明らかに「webサイトを作る」というモチベーションではなくなっている。

新型コロナウィルスの影響もあり、webサイト制作会社への発注も延期や中止ということも現実的に起こっているなか、我々はどう、今後の取り組みを考えていくべきか。webディレクターとしては何を志して、自らをブランディングしていくべきか、ということを考えたい。

厳しい現実。変革しないweb制作会社は淘汰・駆逐される。

1. コーポレートサイトはテンプレート化され、価値が下がる。

当たり前に企業がコーポレートサイトを持っており、コーポレートサイトに掲載される情報はパターン化している。
会社情報、製品情報、IR情報、採用情報。だいたいこのようなもの。
それに、よくあるご質問や、お問い合わせといったものが付随するのが鉄板だろう。
そして、中に入る具体的な情報の項目もパターン化が進んでいる。
つまりコーポレートサイトはテンプレート化されており、その独自性というものは薄くなってきている。
別の話として、例えばその企業の製品を求める人は、いきなりコーポレートサイトには訪問せず、関連情報をまとめたポータルサイトや、Amazon等のECサイトや比較サイト、もしくはSNSやCGM等顧客発信のメディアから情報を得られるケースの方が増えている。
コーポレートサイトは、どうしてもユーザーニーズに対して応えきれない部分に対してフォローする受け皿のような役割に変わりつつあり、補足的な情報を出すという点において、昔ほど目に触れられる機会は減っている。

コーポレートサイトにどこまでのデザイン性が求められるのか。
どこまでのコストを掛けて情報を更新していくのか、というところで、運用・更新費用を渋られているような傾向も感じる。デザインや機能ではなく、ニーズの受け皿として機能させるためのSEOやコンテンツの方により比重が傾いてきていると感じる。

2. 個人エンジニアの台頭で単価は下がり、競争は激化する。

まさにレッドオーシャン。
これまでweb制作会社が行なっていた領域に個人の制作者がどんどん流れ込んで来ている。
そして、それら個人と企業を結びつける、「クラウドソーシングサービス」や「お仕事紹介サイト」なども増えてきており、そういう個人と企業が戦うと、どうしても費用面において、個人(もしくは小規模の制作事務所)が選ばれることも多くなってきている

一応お伝えしておくと、個人に依頼するリスクはある。
個人の方だと業務過多に陥りやすく、納期が守られないとか、契約そのものを結べなかったりとか、品質が悪いとなっても代替の制作者がいないとか。。そういうことは普通に起こりうる。ただ一方、優秀な個人の制作者がいることもまた事実で、その一人でweb制作会社1社分くらいのアウトプットを出せるような超人も存在するので、企業側がそういう人材を求めて冒険をしてしまうというのも理解はできる。

3. クライアント企業、代理店側で出来るデザイナーやエンジニアの囲い込みが加速。

一方、クライアント企業や広告代理店も昔はweb制作をするのはweb制作会社しかいなかったので、そこへの発注前提で考えてくれたものだが、最近は、クライアント社内にそれなりに制作力の高いwebサイトの制作・運用チームを持っていたりする。また、広告代理店も、制作会社とタッグを組むのが普通だったのが、自社内に制作スタッフを持つような動きも出てきている。そういうことから、「個人」にフィーチャーした制作体制が出来るようになりつつあり、その結果いわゆる「制作会社」という看板は重宝されなくなってきているのではと感じる。

4. ホームページ制作は効率化が進む。旧来の制作会社は価格競争で負ける。

ある程度の規模があり、かつ独自性を打ち出せていない制作会社は、個人エンジニアの台頭云々関係なく、制作の単価が高く感じられてしまう。個人が100万円で出来ると言っているところに、普通に1,000万かかると言ってくることもある。Webサイトの制作は、毎回毎回デザインやコーディングを個別に行なっていられないので、ある程度の基本のテンプレートがあり、それを使いまわしつつ、スタイルシートなどで企業のカラーを打ち出すという調整を行うものだが、大きい制作会社ほど、ここのワークフローを整理しきれずにいると思う。
逆に個人や数人の制作事務所であるなら、業務担当が分散しないので、必然的に効率化されていたりするのではないだろうか。

ここまでのまとめ。

つまり、個人の制作者が増加し、webサイトの制作会社と、クライアントや代理店との関係性が変わってきたことで、旧来の独自性を持たないwebサイト制作会社は今後厳しい立場に立たされるであろう、という話をした。
では、webサイト制作会社そのものの今後は、どうなのか?webサイト制作会社に今後の飛躍はあるのか、というところを考えてみたい。

生き残る道は? 大きく好転する可能性も。

今後も企業のインターネット活用、広告運用費用は増加する。

2019年にインターネット広告費がテレビメディア広告費を超えた、ということがニュースになっているが、その傾向は今後も継続する。

ネット広告費初の2兆円超 テレビメディア広告費を上回る【電通 2019年 日本の広告費】
https://markezine.jp/article/detail/33008

これは、web制作業界にとっては良いニュース。ただ、これが直接的に、webサイトの制作や運用に回っているとは思えない。

直接的に顧客に価値を訴えかけるための集客施策。

直接的に効果の出やすいもの、例えば、

  • リスティング広告+ランディングページ
  • Youtube動画広告
  • SNS活用マーケティング
  • インフルエンサーとの連携

など、ダイレクトに顧客に訴える広告手法に企業はお金を投下するはず。
web制作会社はそのようなマーケティング視点に着目し、広告出稿のサポートや、広告運用、またそれに関連するクリエイティブの制作、ランディングページのデザインの制作だけではなくコンテンツやキーワードのコンサルティング、動画広告そのものも幅広く視野に入れつつ取り組む必要があると考える。
それを、具体的な実績として、会社というチームで成し遂げられるというブランディングを確立させることが急務だと感じている。

価値を端的に伝え、集客に寄与するコピーライティング、コンテンツコンサル。

集客した顧客に、価値を最大化して伝えるために、いかにユーザー視点で考え、検索キーワードやマーケティングデータを元にした、キーワード選定やコンテンツ制作を提案できるかは、クライアント企業側も今後特に求めてくるところ。
ここは、特にwebディレクターと言われる職種の人はもれなく高めるべき必須のスキルと考える。

保守性の高い情報設計、更新性の高いシンプル・ミニマルなUIデザインスキル。

webサイトは情報の入れ物、という側面があり、その中に何を入れるかは、クライアント企業側でマネジメントできる範疇になりつつある。だが、実際は、複雑なサービス展開をしている会社など、「どう整理したらよいか」
「どう訴求したらよいか」ということに課題を抱えている企業も多い。
ここは言語化が難しいところなのだが、そこをコンサルし、よくできるという価値提供ができれば、そこは費用投下に十分値すると考える。
また、コーポレートサイトは、その他ポータルサイトやECサイトで得られないニーズの受け皿のような役割を担うと前述した。
だからといって、デザイン性が求められないということではなく、直感的でわかりやすい、更新性が高い、アクセシビリティが高い、表示スピードが速い、といった配慮は絶対に必要。
大きい予算をかけられたのだろうと思われる、ブランドサイトなどほどそういうところで甘いケースが多く、きちんと制御しきれず、リッチな見た目だけに囚われてしまったのだろう、というページは多い。
そこをユーザー視点でコンサルし、ユーザー、クライアント企業双方の目線に立って、情報設計、デザイン制作、コンサルティングができる企業というのは今後も重宝されると思う。

独自の高い技術を使ったソリューション活用。

  • MAツールの活用
  • ECサイト構築
  • エンタープライズ型CMSの実装
  • RPAを活用した膨大なページ数のデータ移行
  • 基幹システムと連動したwebシステム構築

など。これらは、個人や小規模の制作事務所では価値を訴求しづらい部分。高い技術力があるからこそ、こういう価値を提供できる、ということを明確にできれば、「まさにそれを求めていた。」という企業とのマッチング率も高くなるし、独自技術によるところがあるので、単純な価格競争に巻き込まれにくいというメリットもある。

まとめ

今回はなかなか心苦しいテーマで書いてみたが、実感していることをそのまま書いている。
要は、「ただ作りました」という出来上がったものそのものの価値は低く、その出来上がったものがどういう利益を企業にもたらせたかが価値としては重要ということ。そういう点では、サイトのリニューアルそのもので制作会社は利益を上げるというよりも、長期的にクライアント企業に寄り添い、いろいろとトライ&エラーを試し、確実に利益につなげるパートナーシップを確立することでWinWinの関係性を目指すというようなことがより必要になってくるのだと感じています。