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Webプロデューサーとは?その役割・仕事内容を紹介します。【現場の本人から】

2021年06月20日 2021年08月24日

東京のWeb制作会社でWebプロデューサーをしています。
Webプロデューサーって何する人?という質問に現役Webプロデューサーの自分が答えます。

「Webプロデューサーの仕事内容とは?」という記事を見かけますが、その中でWebプロデューサーを経験した人がどの程度いるかは怪しいものだと思います。採用のエージェントサイトとかで見かけることが多いですね。

そこでは戦略策定をしたり、プロジェクトの責任を負う人、という紹介をされていることが多いです。

確かに大きい意味でいうとそうですが、具体的なイメージが湧きにくいと思います。今回は、そのあたりを少し深堀りできればと思います。

Webプロデューサーはプロジェクトを成功に導く人です。

一般的に紹介されている通り、Webプロデューサーの仕事は、プロジェクトを成功に導くことです。

そのための
プロジェクトの道筋を定めたり、
押さえるべきポイントを明確化したり、
プロジェクトの途中途中でレビューを行い、プロジェクトがあらぬ方向に向かっていないかチェックするような役割がメインです。

Webディレクターとの違いは?という質問も多いと思います。

私が聞かれたら「Webディレクターは現場担当者」「Webプロデューサーは現場責任者」と答えるようにしています。

Webプロデューサーの仕事内容

Webプロデューサーの業務内容について深掘りします。

大きいレベルで言えば、「プロジェクトの現場責任者としての全体統括」ということになりますが、全体統括といってもイメージ沸かないと思うので、細分化してみます。

1. Webディレクターのサポート

全体統括といいつつ、これを最初に持ってきたのは理由があります。
プロデューサーとWebディレクターの業務範囲は、明確に切り分けられないと思っています。
なぜならWebディレクターのスキルレベルが様々だからです。

「Webプロデューサーの仕事はこれです。Webディレクターとの業務分岐点はここです。」と言いたいのが本音です。

人材が豊富なら、プロジェクトの必要スキルレベルにあわせてそれにマッチしたWebディレクターをアサインすればいいのですが、スキルの低いディレクターをフォローする、ということをせざるを得ない現実があります。

世の中の制作会社の仕組みや責任範疇も様々だと思うので一概には言えませんが、そういう状況は多いのではと想像します。
ここは、Webプロデューサーとしては正直しんどいところです。
任せられないということではなく、「教育とサポート」に関わらざるを得ない状況があるということです。

2. 戦略策定の主導

ここが本来のWebプロデューサーのやるべき部分だと思っています。

プロジェクトのゴールは何か、ゴールに辿り着くために何をするのか、リスクは何か、どういうマイルストーンを辿るのか、そこの責任を負うのはプロデューサーです。

まずディレクターに考えてもらうようにしますが、プロデューサーが必ずチェックするようにしています。

3. プロジェクトレビュー

基本プロジェクトを前に進めるのは現場担当者であるWebディレクターです。

しかし、

「最初の方針策定にプロデューサーとして関わったら、後はWebディレクターに全部お任せ。」

というわけにはいきません。
プロデューサーはプロジェクトを通し、以下のようなポイントでレビューを行います。

  1. 企画書・提案
  2. 見積
  3. プロジェクト計画
  4. 設計
  5. デザイン
  6. テスト・検証

それぞれのタスクについて、最低1回はレビューをします。

それで良いのか、抜け漏れがないか、付け加えることは無いか、不要なものは無いかをチェックします。

レビューは、WebプロデューサーとWebディレクター間だけで行うこともあれば、デザイナーやプログラマーも含めて行うものもあります。

4. 案件獲得の初動

受託型の制作会社の場合、お問い合わせフォームなどから、新規の制作相談が舞い込みます。

そこで初動対応をするのは、Webプロデューサーです。
しかし、新規の相談というものは、そんなにタイミングよく舞い込んでくるわけではありません。

Webディレクターがアサインできない、という状況は普通に起こりえるし、その場合は、一旦Webプロデューサーがヒアリングであるとか、課題の整理などの初動を進めています。Webマーケティングコンサルタントと一緒に動くことも多いです。

コンペとなったら、デザインを求められることも多いので悩ましいですが、Webディレクターがアサインできない状態であればそこのマネジメントをプロデューサーが担当することもあります。

5. クライアントとのコネクション作り、営業アクション

Webディレクターは、新規Webサイト制作など実務に追われていることが多く、
休眠クライアントなどへのコンタクトまで手が回らないことが多いです。

なので、例えばWebサイト公開から3ヶ月くらい経過したら、Webプロデューサー主導で、休眠クライアントに改善提案を働きかけたりします。社内のスタッフ状況をみながら、そういう営業的な活動も行います。

6. コストのチェック

Webプロデューサーは自社企業の売り上げ、利益といった部分の責任も負います。

見積のレビューをするというのは前述の通りですが、コストについても都度見ておく必要があります。

想定外のコストが発生していないか、見積で予定したコスト内に収まりそうか、関係スタッフの工数などをチェックします。

あまりにもかかりすぎている場合は、その原因が何かを確認し、しかるべき対応を取ります。

ただ、ここで取れる対応というのは、要件外のことを受けていないかの確認をしたり、負荷が高くなりすぎているスタッフがいたら、人員を増やしたり、タスクの分担を検討する、といったことです。

コストは正直担当する人のスキルにもよるところが大きいです。

大事なことは、要件外のことが発生したときに、その内容踏まえてクライアントと交渉をすることです。
(全部が全部金額交渉するというわけではありません。規模、内容を見て判断します。要件外の内容かフィードバック対応か、という判断を正しくしないとクライアントの信頼を失います)

7. 契約の窓口

契約の窓口も対応します。

これは営業担当者がいる場合は、営業が行うことが多いはずですが、いまの自分の環境ではプロデューサーが担当しています。

具体的には、秘密保持契約書、業務委託基本契約書、取引に関する支払い情報、といったものです。

8. 問題発生時の各種調整

ちょっと面倒な話ですが、問題発生時の各種調整もプロデューサーが行います。多くの場合。
プロデューサーは案件の責任者なのでやむを得ないところです。
例えば、クライアントと認識齟齬が起きてしまった場合の対応検討、Webディレクターが退職してしまった場合の引き継ぎ調整、なんらかの問題で炎上してしまった案件の火消し調整など。

本来ないことを祈るものですが、発生してしまった場合、そこの先導を取るのはWebプロデューサーになります。

9. 売上管理

目標の売上に対する進捗管理はプロデューサーが担います。
クライアントごとの目標金額、月次の目標金額、そのような状況を見つつ、クライアントごとのアプローチ計画を立てたりします。

Webディレクターとの違いの大きなポイント

改めてWebプロデューサーとWebディレクターの違いについて別の視点から触れておきます。

私は、Webディレクターはわがままでいいと思ってます。

「あれやりたい、これやりたい、あれやるべき、これやるべき。」ってガンガン言ってくれていいと思っています。

プロデューサーはその中で、やるべきことの本質を見極め、「選択」をしないといけません。

難しいところ

1. 責任が重い

個人的には、プロデューサーという仕事は、責任が重く、ストレスが溜まりやすい仕事だと思います。正直。

成果を出すWebサイトが出来たとしても、その功績は自分ではなく、Webディレクターに持ってもらいたいと思っています。

そういう意味では、影から支える存在というイメージが近いかもしれません。
ま、ガンガン前に出て行くというプロデューサー像もあるとは思いますが。。。

2. 売上目標を課せられる

プロデューサーは良いものを作ればいいというだけではなく、売上についても求められれます。

個人的には、Webサイト制作の仕事というのは「クライアントのため」「Webサイトを使うユーザーのため」「自社のため」
この3つをバランスよく成立させないといけないと思っています。

そこをどう折り合いをつけられるか、指示したり、チェックするのはそれなりに骨が折れます。

やりがいのあるところ

1. プロジェクト全体の裁量がある

プロジェクトをどう進めるか、どういうものにするかの裁量を持ちます。
プロジェクトを俯瞰した上で、必要なリソースをアサインしていく。
策士のような役割が得意な人にはお勧めできます。

2. 人との関わりが多く、責任者として頼りにされる

クライアントとの最初の窓口になることから、頼りにされることが多いです。
少なくとも「責任者」的な目で見られます。
その中でクライアントと関係を構築することが得意な方には向いている職業だと思います。

3. 企業コンサルのような役割を担う

制作するプロジェクトの範疇を超えて、クライアントの課題全般にコンサルタント的立場で関わることがあります。
場合によってはWebサイトではない、解決法を提示することもあります。
Webサイトを作る、ではなく、企業そのものの課題を解決する、という視点を持つことにやりがいを持てる職業でもあります。

Webプロデューサーに求められる資質。

Webプロデューサー向いているのはどういう人でしょうか。
私が思うイメージをリストにします。

  • 責任感が強い人
  • コミュニケーション能力が高い人
  • 営業的な話をすすんでできる人
  • スタッフ間の問題や調整ができる人
  • クライアント企業やWebサイトを使うユーザー視点でものごとを考えられる人
  • 世の中の動き、変化をいち早く察知する人
  • Webサイトの制作知識を一通り備えている人(CMS、SEO、JavaScriptなど)
  • マーケティング視点を持って提案できる人

私自身備わってないものも多いかもですが、ざっと思いつく範囲でこんな感じです。
結構「調整」「確認」に時間を割かれることが多いのが現実です。(私の場合だけかもですが。)

Webプロデューサーになるには?

Webプロデューサーになる方法はWebプロデューサーという職種を持つ企業で様々だと思います。

いきなりWebプロデューサーを求む、という形で採用をかけている企業もあるでしょうし、社内で経験を積んだWebディレクターがWebプロデューサーにジョブチェンジすることもあるでしょう。

Webプロデューサーはプロジェクトの中では責任者にあたる人物です。
なので、そこに中途採用した人員をポンと配置するのはリスキーだと考える企業は多いはずです。

そうすると、いきなりWebプロデューサーになりたいという人は、それまでの経験や職歴、個人としてのブランディングが出来ているかが重要になりそうです。

なので、多くの場合は、Webディレクターを経てからWebプロデューサーになる、というケースが比較的多いのではないかと思います。

私の場合、前職でもWebディレクター的なことはしていましたが、実質Webディレクターとしての経験は7年程度です。会社に「Webプロデューサーになりたいです。」と志願したことはなく、年に一度の人事査定ミーティングの際に、「Webプロデューサーになって欲しい。」と依頼された感じです。

現在Webディレクターの方、必ずしもWebプロデューサーを目指す必要はありません。Webディレクターの方がやりやすい、向いている、という人は絶対います。設計すること、クライアントとの制作進行、社内のデザイナーやプログラマーと話をしながら制作を進めるのが楽しい、という人はディレクターであり続けるのも問題ないと思います。

そこはもういい。もっとマクロな視点でプロジェクトを俯瞰したい。という人は、Webプロデューサーへのジョブチェンジを考えても良いかもですね。会社にその意思がある、ということを伝えてみるなり、蓄積して経験を元にWebプロデューサーを求める企業への転職を考えてみるのも良いのではないでしょうか。

まとめ

色々と書きましたが、Webプロデューサー・・・個人的には結構しんどい仕事だと思っています。

私の場合は、Webディレクターを長くやっていたので、Webディレクターの方が性に合っているというのが実は正直なところだったりします。

プロデューサーはWebディレクターの上級職というか、キャリアパス的には、Webディレクターが次に目指すところ、といった印象の人も多いと思います。

確かにそういう一面もありますが、ケアすべきことがWebサイトの質だけではなく、お金のことや、プロジェクトを進めるスタッフのことなど多岐に渡ります。

Webプロデューサーを目指す方は、そこの責任を追うことを理解した上で目指してもらうと良いのかなと思います。