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webディレクター求められる本質的な必須スキル3つ。

2020年10月25日 2021年08月24日

今回はwebディレクターという職種の方、webディレクターになりたい方向けに書きます。
内容はwebディレクターに求められるスキルについてです。

その前にこの記事を書く自分について少し紹介します。

私は、東京の中規模web制作会社でプロデューサーをしています。
web制作業界に20年以上在籍しています。
これまでwebディレクターとして数多くのwebサイトの企画、設計、プロジェクトマネジメントを担当してきました。
現在はwebプロデューサーとして案件を統括する立場におり、また、採用担当として採用面接のメインインタビューアーを担当しています。なので今回のお話は、ある意味現場のリアルな声でもあります。
それではいきましょう。

求められるスキルは多様。なのにコレというスキル計測の物差しがない。

まず、webディレクターに求められるスキルは多岐にわたります。
そしてwebディレクターも大きな制作会社では役割の細分化が進んでおり、

  1. プロジェクトマネジメント型webディレクター
  2. 企画設計型webディレクター

に分けて考えられることが多いです。
その場合webディレクターという職種名ではなく、インフォーメーションアーキテクトとかプロジェクトマネージャーとか別の呼称になっていることもありそうです。

気分的にはwebディレクターに求めら得るスキルは、極論・・・極論ですが、
「人間力があるか」とか「地頭が良いか」です。
ただ、それをここで言っても仕方無いので、もう少し具体に落としたものを紹介します。

ちなみに、採用面接でも、サイト設計の経験や、考え方、マーケティングスキルなどを聞きつつも実際は、そういった「人間力があるか」とか「地頭が良いか」的なところを引き出す質問を心がけています。

webディレクターに求められる本質スキル。憑依力・逆算力・翻訳力。

webディレクターの能力を測る物差しは曖昧です。
技術やデザインについての知見が多い人が、webディレクターとして優秀かというと必ずしもそうではなかったりします。

しかし、例外なく、優れたwebディレクターは次のスキルが高いということは言い切れます。

  1. 憑依力
  2. 逆算力
  3. 翻訳力

この3つです。

これらは私がwebプロデューサーを8年経験し数多くのwebディレクターと仕事をしてきた中で感じている必須スキルです。

一般的に言われている必要スキルにも触れておきます。

今挙げた3つに触れる前に、一般的に言われているwebディレクターに求められるスキルについても言及しておきます。
全部を網羅しているわけではありませんが、人材紹介のサイトなどで挙げられているものは概ね以下のようなものです。

  • プロジェクトマネジメント
  • コミュニケーション
  • スケジュール
  • 課題抽出
  • アクセス解析・分析
  • 企画設計
  • プレゼンテーション
  • webサイト制作に関する基本的な知識
  • トレンド把握
  • 情報設計・情報デザイン
  • コピーライティング
  • インフラ・サーバ環境
  • バックエンドの仕組み

これらに関しては「全くその通り」という感じで異論はないです。
ただ、今回私が紹介するのは、もう少し本質的なところ、もう1つ上のレイヤーでwebディレクターに求められるスキルです。

本質的に求められるスキル

では順番に見て行こうと思います。

1. 憑依力

「憑依力」という言葉は一般的なものではありません。
ただ、webディレクターに求められる本質を表していると思っています。これは

自分を相手に置き換え、その視点でものを見る力

ということです。

置き換える相手は、webサイトの利用者です。

「その人の立場になって考える」
「その人の視点で考える」
というのは、言葉は理解しているのですが、心で理解し切れていない人は多いはずです。

「相手視点」という緩い概念ではなく「相手に憑依するレベル」で相手視点にならないとユーザーの抱える課題解決法は提案できないということです。

こういうことは、物書きを生業としているライターやブロガーの方も言っています。

例えば多くのブロガーが参考書籍で挙げる
「20歳の自分に受けさせたい文章講義」の著者である古賀史健さんは次のように言っています。

相手(読者)の立場に立つとは、まだまだマーケティングの域を超えない発想だ。
必要なのは、隣に立つことではなく、読者と同じ椅子に「座ること」である。読者と同じ椅子に座り、肩を並べ、同じ景色を見ることである。そこでようやく自分も読者になれるのだし、本当の意味で読者を理解することができるのだ。

古賀史健. 20歳の自分に受けさせたい文章講義

うん、沁みる言葉ですね。心に響きます。

「読者と同じ景色を見てこそ、本当の意味で読者を理解することができる」
こういう言葉は、そのままwebディレクターにも当てはまると思います。
古賀史健さんに限らず、物書きの人の文章術の書籍を多く読みましたが、例外なく、みなさん同じことをおっしゃっています。

「物書きとwebディレクターは違う」という声はあるかもしれません。
しかし、情報を読み手に伝えるという意味で根本は共通すると思っています。

webディレクターの立場になって、少し具体例を挙げてみますね。

  • 自分がユーザーだったら、どういう風に情報を探すだろう。
  • 自分がユーザーだったら、どういうキーワードで検索するだろう。
  • 自分がユーザーだったら、どういう情報が手に入ったら満足だろう。
  • 自分がユーザーだったら、一度で購入アクションまでいくだろうか。
  • 自分がユーザーだったら、このページを見たと後にどこに行くだろう。
  • 自分がユーザーだったら、どうやってこのサイトに再訪するだろう。

いかがでしょう。みなさん、出来る、出来ていると言い切れるでしょうか?

「こうなのではないか?」ということを考える力は以前に「仮説力」として紹介しましたのでそちらも参考ください。仮説を立てるには、まずユーザーを理解し、まさに「憑依」することが必要だと思うのです。

2. 逆算力

次は逆算力です。
逆算力はプロジェクトマネジメントの視点でとても重要な考えです。

逆算力は文字通り

ゴールを起点に「予定」「すべきこと」をプロットしていく力

です。

1つ例を挙げます。

この考えはプロサッカー選手の本田圭佑さんが言っている話です。
本田さんは、自分がヨーロッパの有名プロサッカーリーグで活躍する、というゴールをまず定め、それを実現するためにはいつまでに何を完了しているべきかのタイムリミットを定義したそうです。

※正確では無いですが、ニュアンスとしては下記のような感じです。

  1. 全国高校サッカーに出場できる可能性が高い高校に入学する(16歳)
  2. 全国高校サッカーで活躍する(18歳)
  3. Jリーグチームに入団する(19歳)
  4. Jリーグで活躍する(22歳)
  5. ヨーロッパリーグへの挑戦を表明する(23歳)
  6. ヨーロッパの知名度のあるリーグに入団する(25歳)
  7. ヨーロッパの知名度のあるリーグで活躍し、有名クラブからスカウトを受ける(28歳)

これって、webディレクターにとっても同じことが言えると思うのです。

プロジェクトがスタートするとスケジュールが立てられます。
その時、公開・納品というゴールがあります。

このゴールは簡単に移動することはできません。
移動しない前提で、ではそれを実現するためには、いつまでに何が完了していないといけないか、という計算が必要になります。

うまくいかないディレクターはそれができません。
これは以前、足し算ではなく割り算のマネジメントをすべきという話をしましたがそれです。

ゴールは動かさず、マイルストーンを定義して、逆算でものを考えられるか、先を見越した先手のアクションを取れるかどうかはwebディレクターにマストのスキルです。

また、この考えはプロジェクトマネジメントに限らず、webサイトの企画・設計にも通づる考え方です。

その場合の前提のゴールは何かというと、webサイトを利用するユーザーのコンバージョンです。そこからユーザーの行動を逆算するのです。

  1. どういう悩みを抱えているのか。
  2. どういうワードで検索してサイトに訪問するのか。
  3. ユーザーがどのページを閲覧するのか。
  4. 何をきっかけにサイトに訪問するのか。
  5. どこでどういう比較をするのか。
  6. コンバージョン前に何を再確認するのか。

ユーザーのコンバージョンを起点として、そのために何が必要かを逆算するのです。

「それ、カスタマージャーニーじゃね?」と言われるとそれまでですが、「ユーザーに最終的にしてもらいたいことは何か?」

から逆算してストーリーを考えたりサイト設計をするというのはwebディレクターに求められるスキルです。

常にトップページから考えてしまうwebディレクターはユーザー心理を分かっているとは言えないと思っています。

3. 翻訳力

最後は翻訳力です。
これも少し言葉として分かりにくいかもしれません。
要は、

クライアント企業が持つ価値や情報を最適化して届ける力

です。

具体的にいえば

  1. 情報の取捨選択
  2. 結論から具体に落とす情報の優先度付け
  3. 難解な説明をシンプルに分かりやすく説明するコンテンツライティング

こういったものです。

webサイトを利用するユーザーの課題解決がクライアントの課題解決につながる。
そのためにはwebサイトに掲載する情報を、ユーザーが端的に理解しやすく、取得しやすい形に整形してあげなくてはいけません。

webサイトのページに掲載する情報が、ただ提供されたものをコピー&ペーストで入れ込むだけになっていないでしょうか。

そういうwebディレクターは本質的にクライアントの課題を解決出来ません。

情報をユーザーが理解できる分かりやすい形に翻訳して届けられるスキルは、特に企画・設計を行うwebディレクターには絶対必要なスキルです。この翻訳をできるwebディレクターは残念ながらびっくりするくらい少ないというのが現実だと思っています。

まとめ

webディレクターのスキルは定量評価が難しいと言われますが、定義しようと思えば出来ることはあります。

PMBOK等のプロジェクトマネジメントの資格、マーケティング知識、使えるアプリケーション、CMSの機能理解などなど・・・。

しかしそこは本質ではないと思っています。

webサイトは自己表現の場ではありません。
webサイトを作るにあたって重要なのは、それがクライアントのためになるか、ユーザーのためになるかという、第三者的な俯瞰視点が必要であり、その根源は仕事に取り組む姿勢、思いやり、人間性みたいなところだったりします。

そういう意味で、今回紹介した「憑依力」「逆算力」「翻訳力」は、webディレクターが求められている本質のスキルを言い表していると思いますがいかがでしょうか。

今webディレクターの方、今後webディレクターになりたい方の力をどう評価するかは本当に難しいところです。
そこはweb制作会社としては引き続き模索するところです。

ただ、これらについて高いスキルを有するwebディレクターの方と常に仕事をしていたいなぁと思っている今日このごろです。