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カスタマージャーニーマップはユーザーの感情と行動を理解するために必須。

2020年07月26日 2020年08月25日

カスタマージャーニーマップで定義するのは、ユーザーの「感情」と「行動」。

最初にカスタマージャーニーマップとは何かを簡単に。
ユーザーが興味を物「サービスや商品」についてどう認知し、どう理解し、どう行動して関わりを持つのか、そういった一連のユーザーの行動、感情を定義するもの。

※webサイトのランディングページからコンバージョンとなるページにいくまでの導線を定義することをカスタマージャーニーと勘違いしてしている人がいるがそうではない。

カスタマージャーニーマップで定義すべきもの

主に定義しているのは、以下のようなもの。

  • ペルソナ(具体的なユーザー像)
  • フェーズ(最終的に期待するアクションを考えた時にどの段階にいるか。例えば「認知、興味関心、理解、比較検討、意思決定」等)
  • タッチポイント(例えば「webサイト、メルマガ、広告接触媒体」等)
  • 顧客課題
  • 思考・感情
  • 課題・解決すべきこと

大きな課題。ペルソナを立てられるのか?

カスタマージャーニーマップを作成するにあたっては、実際のユーザーがどのように、サービスや商品に触れ、どういう行動を起こすのか、ということを予め想定しておかないといけない。
それは、想定できるユーザー像のペルソナを複数立て、それぞれのストーリーを描くことを意味する。

そのストーリーを描くためには、実際のユーザー・顧客に当たる人にインタビューを行い、その上で、それらの情報をマッピングしていく必要がある。

そのような時は、協力者である、クライアントの営業担当、社内の制作スタッフ、場合によっては家族などにヒアリングやアンケートを取ってみるのも有効な手段だと考える。

とはいえ、現実的には、なかなかできないことが多いので、あくまで想定にはなってしまうが、webディレクターが納得感のあるストーリーを作れるかどうかは重要なポイント。

「カスタマージャーニーマップなんて作らなくていい」と思っている方へ。

結論。
「webサイトでユーザー課題を解決したい」と思っている方は作るべき。
なぜか?そこには明確なメリットがあるから。
作りたいができないではなく、そもそも作らなくていいと思っている人は、第三者的な視点が欠けていると思う。
具体的な作ることのメリットは以下の大きく4つであると考える。

1. ユーザーの感情に即した、提供情報を検討できる。

カスタマージャーニーマップではユーザーが、サービスや商品情報のタッチポイントにおける感情も定義する。
その感情を持ったユーザー像に対して「どういうテンションで」「どういう粒度で」情報を提供すべきか、のヒントがそこにはある。

個人的には、これが一番大きいと思っている。

では、定義した感情にある人に対して、どういうレベルの情報を提供すべきなのか?

  1. 興味段階で提供すべき情報
  2. 理解のために提供すべき情報
  3. 比較検討段階で提供すべき情報
  4. 具体的アクションを起こしてもらう上で提供すべき情報

それぞれの段階で提供すべき情報の質は異なる。
例えば、「商品情報」とひとことで言っても、1つのページで完結するわけではない。

トップページ、商品情報トップ、ランディングページ、
自社のサイトではない比較サイト、個人ブログ、様々な情報チャネルがある中で、もしかしたら、自社サイトに訪問する前に、ユーザーが意思決定まで済ませている可能性だってある。

そういうことを理解した上で、サイト設計するのとしないのでは、最終的なwebサイトの形も大きく変わるのだということを設計者は理解すべきだと思う。

2. 具体的なユーザーイメージの共通認識が持てる。

企画書などでは、ターゲットユーザーは定義してはいる。
ただ、そのターゲットユーザー像の認識をより確実なものにすることができる。
カスタマージャーニマップで定義する「ペルソナ」がそのターゲットユーザー像をより具体的にしたもの、と言えると思うが、そのペルソナがどういう感情を持ち、どういう行動を取るのか、そこまで定義してはじめてユーザー理解に繋がるというもの。

3. webサイトの外側に目を向けた検討ができる。

webサイトの設計者は、とかく、webサイトの内側であるランディングページからコンバージョンに至るまでの導線や、コンテンツのみに目が行きがち。

ユーザーは「企業が持つwebサイト」からのみ情報を得るわけではない。
SNS、Youtube、ネット広告、比較サイト、店頭、色々・・・

webサイトの制作会社は、サイトをつくるだけではなく、場合によっては、そういう様々なチャネルへの露出を提案をすることもあるし、そのチャネルに掲載する情報の制作も含めて提案すべきことも普通にあると思う。

「webサイトしか作れません」というwebサイト制作会社は今後厳しいのではと思っている。

Youtube動作制作や、ネット広告運用サポート、SNS運用サポートなど、そういったことを含めて、提案すべきポイントが、カスタマージャーニーを作ることでより明確化される。

4. 効果検証しやすい状態になる。

これも結構見落しがちな部分。
カスタマージャーニーを作る、ということはユーザーの行動・感情を予測するということ。
それをすることで、具体的なサイトリニューアルやサイト改善の施策に結びついてくる。
その施策は実施してどうだったのかを検証するにあたり、KPIを元にした検証を行うが、そのKPIを立てやすくなる。

例えば・・・

「ユーザーはこういうニーズを持ち、こういうモチベーションを持っている。だからここでこのような訴求をする。そのため、ここのページは●●ページへの遷移率が重要になる。」

「こういう課題を持ったユーザーは、こういうワードで検索し、このページにランディングするはず。そうなったら、このページで悩み解決までしてもらう必要があるので、ページのスクロール量、もしくは滞在時間が指標になるはず。」

そのようなもの。
課題→施策→効果検証
この流れをスムーズにするためのファーストステップとしてカスタマージャーニーの定義は意義のあるものであると考える。

カスタマージャーニーマップの作成にどの程度の労力をかけられるか?

webサイトのリニューアルにおいて、カスタマージャーニーマップの作成にどの程度時間をかけるべきか?

分析・調査にかけられる時間というものはサイト制作の見積金額的に、多く取りづらいという現実がある(気がするのだがどうか・・・)。

なぜその時間をとりにくいかというと、予算が限られている中で、「制作」する部分は削るわけにはいかないが、この分析、調査の部分は「なんとなくなくてもいいよね?」的な空気があるから。

ここは、制作会社、コンサル会社側の問題でもある。

そこの価値をきちんと説明し、これをやらないと、ユーザーに最適な形で情報提供できるwebサイトにならないですよ、ということを納得してもらわないといけない。

その説明をする前に、価格で弾かれてしまわないように、最初のオリエン時に、クライアントに対し、「こういう作り方をするんですよ。」「こういうステップを踏まないとただ、化粧替えしただけのサイトになってしまいますよ。」ということを、webプロデューサーである自分などがきちんと説明してあげないといけないのだと思う。

その一方で仮に予算が出ないとなった場合でも、カスタマージャーニーマップの作成に類するものの松竹梅の対応パターンを準備しておくというのは必要と思う。

まとめ

感覚的にだが、世の中のwebディレクターはカスタマージャーニマップを作りたがらない印象がある。

それは何故か?

多分・・メリットを理解しておらず、「自分の頭の中で考え切れている。企画書に全て出し尽くしている。」という自負があるからだと思う。

カスタマージャーニーに関する世の中のメディア等での説明は、マーケティングの説明の延長にあり、実際にwebサイトの企画・設計にどう活かすかまでは書かれていないことが多いように感じる。

なので深く理解しないまま「多分感覚でもやれそう。」と思ってしまうところに問題があるのではないか。

実際に作ってみるといろんな気づきがある。

是非面倒くさがらずに、手書きでもいいので、ユーザーの感情と行動を整理するステップを挟んでみることをお勧めしたい。